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無線通信ルータ設定備忘録

これまでに様々な通信機器を設定してきた筆者が、中でも最近流行りの(=入れ替わりの激しい)無線通信対応ルータに関して、ちょっと変わった物たちの癖を忘れないうちに書き留めているページです。 新旧入り乱れていますが、時系列を無視して適当に追加していきます。悪しからず。

ここに書いた内容は筆者の個人的な備忘録です。内容について筆者はいかなる保証もしませんし、質問等いただいても答えられません。また、メーカー保証外の使い方もありますが、全て自己責任となることをご了承の上でご覧ください。

目次

URoad-7000 EMOBILE GP02 NTT Docomo, LG L-09C NTT Docomo, LG L-02C + PLANEX CQW-MRB 富士ソフト FS010W APNの設定

ソフマップ・ドットコム

URoad-7000 (WiMAX)

見た目はいいが…

充電池は交換可能なLi-ionで、容量は 3.7V 2300mAh。 韓国MODACOM社製、日本ではシンセイコーポレーションが販売。

当時としては画期的な製品だったと思います。デザインも個人的には良かったと思います。ただし充電・USBが特殊端子だったのは使い勝手を損ねていました。

しかし、もっと重大な問題が…設定画面に外から入れるという巨大なセキュリティホールを見つけてしまい、それをメーカーや回線事業者に指摘しても全く修正されないどころか、返事も来なかったという酷い製品でした。 以降もWiMAXは使っていますが、全てNEC製を選ぶようにしています(Mobile Cube は試したこと無いけれど、実質 Aterm と URoad の二択だからね、この先はもうWiMAX自体あまり出ないだろうし)

回線事業者は @nifty(旧NIFTY-Serve)を使っており、同社は当時から自社回線でしか使えない端末の提供にこだわっている節がありましたが、本機もご多分に漏れず@nifty専用機で、中古で購入しても他社では使えないので要注意。しかも、最初に筆者の手元に届いた機械は初期不良で、それを@niftyが認めようとせず半月ほど全く使えず手間ばかりかかった苦い思い出もありましたね…筆者が韓国製品を避けるようになったのは、最初に購入したS社のHDDがすぐに壊れたり、最初に購入したS社のフラッシュメモリが不具合頻発していたり、H社のメモリで相性が出たりと、そんな経験の積み重ねがありますが、本機がその念押しになったのは言うまでもありません。

上記の問題を除けば、当時としては使用感は悪くなく、電池持ちもなかなか良かっただけに、非常に残念です。

EMOBILE Pocket WiFi GP02 (W-CDMA)

自宅でも出先でもそれなりに使える

2011年 7月に発売した、3Gデータ通信 EMOBILE の「Pocket WiFi」シリーズ。中国Huawei(ファーウェイ、華為技術)社製。W-CDMA, HSPA+, DC-HSDPA 2100/1700MHz (Band 1, 9) に対応。SIMロックはされておらず、イーモバイルはもちろん、NTTドコモのFOMAメインエリア(2GHz)および東名阪バンド(1.7GHz)でも使える(プラスエリアには非対応)

谷あい地形やコンクリート壁の内側では圏外になるが、平地の屋外や木造住宅では基本的に使えている。

仕様上は、前機種 GP01 の DC-HSDPA 対応版。見た目が少し変わり、電池の容量と重量が増している。聞いた話、GP01 に比べて内部処理も高速化されているらしい(筆者は比べていないので分からない)

また、個人向け無線ルータとしても基本的な機能は一通り揃えており、出先でも自宅等でも利用しやすい。ただし無線LANの同時接続数は5台まで。 USB microB 端子を備え、USBモデムとしても動作可。充電しながらの通信にも対応。

電池持ちは悪くないと思うが、電池パック式なので交換可能。予備電池を持っても良いし、中古で購入して電池が劣化している場合は買い換えると良い。

筆者は1つで足りているので追加購入はしていないが、互換電池も販売されているのと、au Wi-Fi WALKER DATA06 の電池が互換という話もある(当然ながら、利用は自己責任で。)。 さらに社外品ながらピッタリというクレードル (MICROUSB-FCH) まで市販されていた(今は入手困難)

2GHz + 1.7GHz、イーモバイルとドコモの回線に対応

仕様上の伝送レートは、いずれも下り最大で、HSPA+ は21Mbps、DC-HSDPA は42Mbps。筆者が試した時には、本機とNTTドコモのMVNO契約(IIJmio/D)SIMを使って SPEED TEST で14Mbps程度出ていた。ここでも指摘されているが、HSPAの規格伝送レートには誤り訂正符号も含んでいるので、実際は17Mbps程度が上限になることを思うと、東名阪バンドの効果は大きいと思う(同じ場所で2GHzや800MHzを使っていると、よくて数Mbps程度)

DC-HSDPA (Dual Cell High Speed Downlink Packet Access) は、帯域をまとめて倍以上の伝送レートを出すもので、従来規格を手っ取り早く拡張する方策として導入されたが、その後 iPhone がLTEに対応した影響で、事実上その対策として、連続した2組の帯域幅を使う DC-HSDPA はわずか3年ほどで幕引きとなった。よって本機は、現在は HSPA+ までの対応となる。

イーモバイル回線はもちろん、NTTドコモ回線(東名阪バンド)を使っても快適。LTE・iPhone全盛となった2014年時点では、本機は中古市場で2〜4千円程度で大量に出回っている。(LTEによるTTL短縮などの恩恵は受けられないが)1.7GHz 東名阪バンドを利用できる地域では、MVNO格安回線の活用策としても良い選択と言えるのでは。

※ただしNTTドコモの1.7GHz帯(東名阪バンド)は、じきにLTEに転用され、使えなくなることが予想される。

ちなみにイーモバイルは初代 Pocket WiFi (D01HW) から同社製品を採用しており、また基地局でも当初よりファーウェイ社製設備を導入しているが、そうした実績に伴う安定感もあるのかもしれない。

イーモバイル余剰回線や、ドコモMVNO回線の活用に

イーモバイルではLTEを展開する傍ら、3Gスマートフォン旧機種の在庫処分として、端末代込み・2年間は月額1980円で使える施策を実施している(2年契約、途中解約料金が高いので、2年使う前提で契約することになる)3G専用の契約になるが、LTEに比べると通信量制限がとても緩いので、モバイルだけでなく自宅用にも使いたい場合などには向いている。

本機はLTEが一般化した2014年時点では完全に型落ちで、中古市場では3〜5千円程度で出回っているが、一方でドコモMVNOが低価格化し、LTE対応モバイルルータは高止まりしているので、安価で安定動作する本機種は、用途等を割りきって使うなら選択肢に入れて良いのではと。(処理速度が遅いと言われるのは気になるが、ひとつ前の機種 GP01 もSIMフリーでドコモMVNOにも使える。)

なお、NTTドコモ(MVNOを含む)の回線で使うために本機を調達する場合は、3G専用端末でも使えることを謳っている回線であることを確認すること。(Xi契約の回線は、Xi・FOMA両対応端末では使えるが、FOMA専用端末では使えない場合がある。)

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NTT Docomo, LG L-09C (FD-LTE, W-CDMA)

価格に見合った造り

2011年6月発売、充電池は交換可能なLi-ionで、容量は 3.7V 2700mAh。 見出しは「安かろう…」と書いてやめたのですが(笑)、ある意味、コストをかけず実を取る造りになっており、韓国製らしいというのか、ある意味潔いとも言えるかもしれません。

韓国製の機器に良い思い出の無い筆者なので、どうしても構えてしまうのですが、これまでに扱った物の中ではLG社は比較的マシと言えるかと思います。 筐体は大きめですが電池パックが大容量ですし、ストラップホールがあるのも評価点。小さなモニタで接続状況を確認できるのも良いですね。

一方、気になった点は、

  1. 管理画面のパスワードは数字4桁しか設定できない
  2. DHCPを手動設定する際、DNSアドレスが自動設定されない
  3. 電池を抜いての運用ができない
  4. 無線LANのチャンネルを自動にしておくと1や2になる

といった所でしょうか。3,4は最近の端末にありがちですが、いずれもルータと考えるといかがなものかと思います。

他社プロバイダを使う

NTTドコモが提供している端末だけに、同社の契約で使う分には全く問題ありません(ただしIPv6は未対応)。 NTTドコモのSIMロックが施されており、そのままでは他社(国内ではソフトバンクモバイル、および海外事業者)のSIMカードは使えませんが、一応SIMロック解除に対応しているようです。

ところで、本来同社は回線とプロバイダ契約は別と位置づけており(実際はドコモのプロバイダである mopera U とのセット契約を勧められているでしょうが)、同社のホームページの奥の片隅をよく見ると分かるように、他社プロバイダとの組み合わせも可能になっています。→Xi (LTE)FOMA (3G)

そこで、筆者は BIGLOBE「Xi・FOMA」オプション 定額プランを使ってみました。同社の他の通信サービスと併用する場合は月額315円の追加で使えるのが魅力で、筆者の感覚では mopera U よりパフォーマンスも良いように思います。

ただし、プリセットされている mopera U と違い、初回のみルータに APN 等の設定を行う必要があるので、初心者でいたい(面倒な設定はしたくない)人は素直にドコモのサービスを使うのが良いでしょう(そういう人が、このページを見に来るとは思えませんが(笑))

なお、同様に初回のみAPNの設定が必要ですが、IIJmio 高速モバイル/D でも使えます(SIMロック解除不要)

ただし、(筆者は試していませんが)本機は FOMA(いわゆる3G、W-CDMA)契約の USIM(以下SIM)では動作しないのだそうです。 参考までに、NTTドコモではいわゆる赤SIM(その後ピンクSIMが追加)はLTE対応の「ドコモUIMカード」、その他の色(青、緑、白)は3G専用「FOMAカード」となります。

今から考えるなら「安かろう、悪かろう」

2013年にはLTEが一般化し、MVNOサービスも多彩になりましたが、これに応じていわゆるモバイルルータ製品も多く登場しています。

2011年の発売当時では他に選択肢がなく、そもそもLTEサービスが始まったばかりの時期であり、価格も安くばら撒かれたこともあって、中古市場では5千円以下で出回っていました(筆者が購入した時は4千円以下)

これだけの物が5千円程度で買えるなら悪くないと思いますが、その後LTE市場が急速に立ち上がり、2013年には Band19 (800MHz) でのサービスも始まっています。本機は Band1 (2GHz) にしか対応していないので、「モバイルルータ」として(出先で)使うには難があります(筆者の感覚では、WiMAX の方がマシ)

一方、個人宅や仮設事務所などで半固定で使う場合にも、本機は電源ON/OFFやその状態が分かりにくく、しかも電池を外すと動作しない仕様になっており、ACアダプタを接続した状態で使うと不安定(コンセントを抜いて再投入すると本体電源が落ちるときがある等)なので、半固定利用にも向きません。帯に短し、襷に長し。他の選択肢も増えてきた2013年時点での本機の選択は「安かろう、悪かろう」と言えるでしょう。

モバイルルータとしては、2013年下旬の時点で Band 1/19/21 (2GHz/800MHz/1.5GHz) に対応した富士ソフト FS010W がアウトレットで安く(と言ってもL-09Cよりは高いですが)出回っていますし、新品では ネクス(旧netindex)NI-760S や、WiMAX ルータで定評のある NEC Aterm ブランドから Aterm MR02LN も登場しており(MR01LNは電池交換不可、APN記憶不可という仕様が仇になり要注意端末ですが)、市価2万5千円程度で販売されています。MVNO SIM で使う場合の選択肢はずいぶん拡がり、使いやすくなりました。

NTT Docomo, LG L-02C (FD-LTE, W-CDMA) + PLANEX CQW-MRB

いやもう、曲者の組み合わせで(笑)。

L-02C

(JPEG 75KB)
▲L-02CにAPNを設定する

デザインはけっこう気に入っています。SIMを比較的取り外しやすいのも好評価。しかし癖の多いこと…

こいつはパソコンで使うことを想定した製品ですから、今回の組み合わせで使うにしても、まずはパソコンで設定が必要です(正確には、mopera U で使う場合には初期設定のまま使えるかもしれない)

そこでまずパソコンで使えるようにしますが… 付属の接続ソフトが Adobe Flash を使ってる!と言ってもWebブラウザを使うのではなく、ActiveX 版を別途入れさせられるのです、接続ソフトのために…新品で買っていたらこの時点で「FlashのEULAには同意しかねる」と言って返品したくなりそう(苦笑)。そういう返品、無いんですかね?

もっとも、Flashを使わない方法も一応用意されています。モデムドライバですね。ところが、なぜかモデムドライバを入れてもWindows標準のダイヤルアップ接続で mopera U に接続できず(今思えば、下記の認識不良もあるのかも)、またドコモ以外のプロバイダを使うにはAPNを記憶させるための「L-02C 接続先(APN)設定ツール」も必要なので、結局 Flash を入れて使ってみました。

当初はパソコンで使っていたのですが、なぜか認識しないことが多い。認識する時もあるので、パソコン側の接触不良も疑いましたが、通電を示すランプは明滅しているし、他の機器では起きないので、L-02C の不具合を疑っています。IPv6には一応対応していますが、なぜかDNSの自動設定ができない。このような不具合を抱えながらファームウェアアップデートされる様子もない(他の不具合修正で一度アップデートされましたが、その時も外出先で巨大なファイルをダウンロードし始めて辟易しました)。 800MHz帯に対応していないこともあって、一応動作はするが、使いたい時に使えない役立たず端末として、すっかり埃をかぶっていました。

ちなみにこの L-02C、ドコモが Xi サービス立ち上げ期に高額インセンティヴを付けてバラ撒いたものだから(全く使わなくても契約して2年後に解約するだけで数万円得したんだそうな)、中古市場に溢れています。筆者が購入した時は未使用品で500円くらいでしたが、その後 MVNO が流行ったこともあってか、1000円以上に値上がりしていますね。それでもまだ安いですが…

CQW-MRB

(JPEG 43KB)
▲AX530S / WS014IN+RX420IN

もうひとつ、これは発売当時としては画期的だった、面白い機械です。Ethernet(有線LAN)、無線LAN、USB端子を1つずつ備え、USB端子にデータ通信端末をつないでモバイルルータにしてしまおう、というもの。Ethernet端子はLANにもWANにもできます。しかも(仕様上は)電池駆動可能。充電池は富士フィルム NP-120 互換品に少し手を加えると使えるのだとか。試していない(予備電池が要るほど使っていない)ですが。

筆者は処分品を数千円で購入し、当時使い放題で月額980円の WILLCOM AX530S(右写真)と一緒に使っていたのですが、AX530S はPCカードスロットでパソコンに内蔵する方が便利なこともあって、CQW-MRB はあまり出番がなく、やはり埃をかぶっていました。

とりあえず動いてる(笑)

で、この2つが余っていたので、試しに組み合わせて使ってみました。動作保証はありませんが、いくつか条件があるものの、一応使えています。条件というのは、初期設定時はUSBと有線LANを備えたパソコンを用意することと、常時AC給電、通信が途切れたら電源スイッチOFF/ONで再起動することの3点。

まずパソコンは、L-02CへのAPN設定と、CQW-MRB の初回設定に使います。 筆者の手元では無線LAN経由での CQW-MRB の設定がうまくいかなかったので最初は有線LANで設定しましたが、これは無線LAN端末により挙動が変わるかもしれません。

CQW-MRB の電源周りの不具合についてはちらほら報告があるようですが、憶測になりますが、LTEドングルとルータの両方を駆動するには電池が力不足なのでしょうかね。また、CQW-MRBの設定画面から切断/接続や再起動すると、通信できない状態になってしまいます(シャットダウン処理にバグがありそう)。常時起動していると操作しなくても時々この状態になり、一旦電源を落としてやる必要がありそうです。

なんとも不便ではありますが、電源OFF/ONすればまた使えるようになりますし、メカニカルスイッチなので操作は慣れれば確実です(電源を抜いて入れるのでもOK)。割り切った使い方をすれば、選択肢に入るかもしれません。

まず、APNの設定は CQW-MRB では行わず、予めパソコンで「L-02C 接続先(APN)設定ツール」を使って行います(右画像は、BIGLOBE「Xi・FOMA」オプションを設定したもの)

CQW-MRB の側では、WAN → 3G/3.5G の設定にて、

接続方法:標準の接続先を使用
アクセスポイントの電話番号:*99***1#
ユーザID・パスワード:プロバイダ指定のもの

を設定。アクセスポイントの電話番号は、前述の「L-02C 接続先(APN)設定ツール」で設定したAPNに対応する番号なので、他の番号にAPNを登録したのなら、その番号を設定します。

また、CQW-MRB は無線LANの相性が出やすいようですが、筆者が試してみた範囲では、

RTSスレッショルド値:2346
DTIMピリオド値:1

に設定すると、無線LANの相性問題が緩和されるようです。

富士ソフト FS010W (FD-LTE, W-CDMA)

プロバイダ向け製品

2013年3月発売。電池は交換不可、説明書 (PDF 3.3MB) によるとLi-ionで容量3000mAhとのこと。

以前、一般向け市場では馴染みの薄いと思われる富士ソフトが自社ブランドでモバイルルータに参入するということで少し話題になったのを思い出しますが、本機はルータでは2機種目になるのかな?同社製品はMVNOプロバイダへの卸しを念頭に発売されており、一般の販売店で小売りされていないこともあり、筆者は製品を見かける機会がありませんでした。

ところが早くも発売から半年、2013年10月頃から中古市場にアウトレット端末が流れるようになり、筆者も試しに購入してみました。秋葉原のソフマップモバイル館で9800円。他の店舗や同通販では12800円で販売されていますね。店で買う方が安いですが、秋葉原まで行く機会がない方には良いのではと思います。(12月中旬に見たら秋葉原でも12800円に値上がりしていました。売れてるんですかねぇ。)

ちなみに同社のモバイルルータは WM340 との2機種がありますが、FS010W だけ在庫放出された理由は不明。邪推すれば電池交換不可などの理由が考えられますが、今後不具合が出てくるかもしれません。小売りされていない商品なのでメーカー(富士ソフト)のサポートは期待できず、中古販売店の保証も1ヶ月程度ですから、自己責任で使える人向けと言えそうです。

妥当な作り

"MADE IN KOREA" が不安を誘いますが、簡単に試した範囲ではセキュリティホールになりそうな点は見当たらず、(電池交換不可と販売形態を除いて)目立った癖もなく、妥当な作りになっていると思いました。

やはり800MHz対応は魅力です。1.5GHzにも対応しており、2014年には東名阪でのサービスが始まると思われますが、その頃にはより使い勝手が良くなると期待されます。SIMカードの交換が簡単なのも好評価(用途によってはマイナス点かもしれませんが)

一方、無線LANルータとしての機能はかなり簡素です。例えば、筆者はあまり必要ないものの、SSID を1つしか持てないので、他の人に使わせる機会の多い人には不便かもしれませんね。

また、IPv6 には対応していないのと、電池交換ができないのは残念。もっとも前者はまだあまり需要がないのでしょうが、InternetWeekのスポンサーでもある富士ソフトだけに、取り組んでほしかった所です。 (ちなみにIPv6に対応したモバイルータは知る限り Aterm MR02LN のみでしょうか。)

本機はMVNO向け製品で、単体購入した場合はSIMカードを別途用意することになります。本機にはいわゆるSIMロックは施されていないようなので他社(SoftBank、EMOBILE)も認識する可能性がありますが、対応バンドを考えればNTTドコモを使うのが妥当でしょう(この他、欧州や東南アジアなど Band 1 に対応した地域へ旅行時には割安な現地SIMで使える可能性があります)

LTEについては

au の2GHz帯も掴むという報告もあるようですね。また、この方はソフマップ横浜店で9800円にて購入したそうで。

筆者はauのLTEを試したことはないですが、ドコモXiが酷いというのは同感ですよ。WiMAXの方が全然マシ。少なくとも2GHz帯だけでは話にならず、800MHz帯を使えるFS010Wを導入して、ようやく少しは使えるようになったかなという程度です。

MVNO SIM の動作

本機をドコモショップに持参して契約すればSIMカードの発行を受けられますが、新規契約の特典(販売店の契約獲得に支払われるインセンティヴ)はおろかサポートすら受けられませんし、最近は格安にSIMカードのみを提供するMVNOが増えましたから、わざわざ本機を購入するような人は、ドコモ契約の余ったSIMを活用したいとか、MVNOを使って割安に済ませたいという人が多いのではと思われます。 筆者はNTTドコモXi契約の赤SIMとIIJmio/D(こちらも赤SIM)を持っており、結論から言えばいずれも使えました。 (FOMA契約の白SIMもありますが試していません、追加パケット代を払ってまで試す価値は感じられないので…)

MVNOで老舗は2008年から続く日本通信 b-mobile シリーズですが、同社が2011年に始めたいわゆるイオンSIM、さらに同年にはDTIハイブリッドモバイルプランSo-netモバイル3GBIGLOBE 3G など大手プロバイダも続々参入し、しかしここまでは正直「安かろう、悪かろう」でしたが、2012年にIIJが参入して低価格ながらも一定品質を提供するようになり、以降急激に活性化した感があります。

いわゆる3G方式で通信サービスを提供する大手3+1社(NTTドコモ、KDDI"au"、ソフトバンクモバイル、イーモバイル)の価格が高止まりしていた一方、端末供給が増えて市場にあふれ、サービスも増えて、ちょっとだけ使いたいという需要も増えたのでしょう。もちろんNTTドコモの接続料引き下げ(計算上毎年下がる)も相まって MVNO SIM はまともに使える程度のサービス水準になり、少しだけ使いたいという需要にうまく応えていると思います。

高額な通信費用を支払ってでも面倒な通信設定は一切やりたくないという人もいるでしょうし、一方で少し手間をかければ通信費をグッと抑えられ、しかも端末の選択肢も増えてきたとあって、一定程度の需要が出てくるのは肯けます。

さて、そういういわゆる MVNO が提供するドコモSIMを使う場合、APN(アクセスポイント名)の設定を行います。 細かい話は割愛しますが、ADSLやフレッツ光で使われているPPPoEのようなものだと考えればいいでしょう。一般的な端末で設定する項目は

APN、ユーザ名、パスワード、認証タイプ(PAP/CHAP)、APNタイプ(default)

くらいです。 他に MCC, MNC(NTTドコモでは 440, 10) など必要項目はありますが、SIMから自動設定される場合が多いようです。

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APN の設定

APN (Access Point Name) は、GPRS/W-CDMA/LTE のデータ通信におけるプロバイダ設定にあたるもの。パケットデータ通信の接続先を指定します。

国内キャリアが販売する端末は標準でそのキャリアの通信サービスが設定されていますが、プロバイダを選びたい場合や、MVNOを使う場合、SIMフリー端末を使う場合などには、設定変更が必要になります。

各項目について

名前 (Name)
任意
APN
プロバイダ・回線契約に応じて指定
プロキシ、ポート
通常は未設定(プロバイダから指定があればそれを)
ユーザー名、パスワード
プロバイダから指定されたものを設定。
(指定が無い場合は未設定のまま。)
サーバー、MMSC、MMSプロキシ、MMSポート
通常は未設定
MCC、MNC
国コード(MCC)と通信事業者コード(MNC)。通常は自動認識される。
うまくつながらない場合は MCC=440, MNC=010(ドコモの場合)
認証タイプ (Authentication type)
プロバイダにより対応が異なる。
PAP,CHAP両方対応しているプロバイダの場合は好きな方を。
ただしユーザ名・パスワードが個別発行される場合はCHAPがいいかも。
APNタイプ (APN type)
省略可。default,mms,supl,hipri のようにカンマで区切って複数指定可。各値は後述。
APNプロトコル (PDN Type)
Android 4.0 以降で、LTE対応端末かつIPv6対応プロバイダmopera UIIJmio など)では「IPv4IPv6」が使用可。LTE非対応機種ではIPv4のみ設定可(v6設定すると不具合を起こす)
ベアラー
指定なし

APNタイプの設定値

複数APNを使い分ける時に指定することができる。カンマで区切って複数の値を指定可。 使い分ける必要がなければ(ひとつの接続先にしか接続しない場合=大多数のMVNOなどでは) default のみ設定、または何も設定しない。

default
全てのモバイルデータ通信において標準で使う接続先
mms
MMSで使う接続先
supl
SUPL(Secure User Plane Location) で使う接続先。主に Assisted GPS (A-GPS) で使われる。
hipri
High priority mobile data connection
fota
Firmware Over the Air(モバイルネットワーク経由のファームウェア更新)で使う接続先
dun
Dial-Up Network specific Mobile data connection
tether
テザリングで使用する接続先

【参考】

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APN設定例(NTTドコモ)

Xi (LTE) と FOMA (W-CDMA, UMTS) 向けのAPNが異なる場合がある。その場合は、回線(USIM)の契約に応じたAPNを設定する(例:端末がW-CDMA専用でも、Xi契約のUSIMを挿す場合はXiの設定をする)

ただし、回線種別によりAPNが異なるプロバイダでは、2013年より、LTE契約のUSIMでFOMAのみ対応の端末が使えない問題が発生(例:NTTドコモXi契約BIGLOBE「Xi・FOMAオプション」LifeTouch NOTE 3G対応機種で接続できなくなった)。NTTドコモとプロバイダ双方に問い合わせてみたが埒が明かず(互いにたらい回し。NTTドコモは取り合わない。プロバイダ側は状況をよく認識していない様子。)、解決どころか原因特定もされないまま。

mopera U、およびMVNOサービスの IIJmio/D や ServersMan SIM LTE(いずれもAPNがXi・FOMA共通)ではこの問題は起きていない。

(余談) 様々な状況があるだろうが、筆者の経験では、NTTドコモは契約が高額なだけでなく複雑怪奇で、窓口担当者の対応も自社以外のサービスを組み合わせて使うなと言わんばかりの態度であり、直接契約よりもMVNOの方が使い勝手の良いサービスを提供していると思う。

APN設定例(Softbank)

最近のSoftbankは機種等により異なるUSIMが提供され、USIM毎にAPN設定が異なる。

iPhone5専用(黒nanoSIM)

APN
jpspir
Proxy
未設定
Port
未設定
Username
sirobit
Password
MMSC
http://mms/
MMS Proxy
smilemms.softbank.ne.jp
MMS Port
8080
MCC
440
MNC
020
Authentication type
PAP
APN type
default,supl,mms
APN protocol
IPv4

※パスワードは確認を。→http://b00111.blogspot.jp/2012/10/simapnnanosim-nanosimapnjpspirappleipho.html

EMOBILE 3G APNの設定

S51SE にプリインストールされている /system/etc/apns-conf.xml と、説明部分は「よくあるご質問」などを参照したもの。他に MCC(440), MNC(00) は SIM (EMchip) が認識されていれば自動設定されているはずだが、もし無ければ各々に設定する。

◆EMnet

EMnet契約時に利用できる。コンテンツ課金等に対応する。

名前
EMnet
APN
emnet.connect
プロキシ
wm.internal.emnet.ne.jp
ポート
8080
ユーザー名
emobile
パスワード
emobile
MMSC
http://mms.internal.emnet.ne.jp
MMSプロキシ
proxy.internal.emnet.ne.jp
MMSポート
8080
認証タイプ
PAP
APNタイプ
default,supl

◆プロトコル制限なし

Pocket WiFi などパソコン向けデータ通信端末で使われているAP。

名前
Protocol制限なし
APN名
emb.ne.jp
ユーザー名
em
パスワード
em
認証タイプ
PAP
APNタイプ
default,supl

◆プロトコル制限あり(B)

ファイル交換(P2P)やオンラインゲーム、動画の一部など、一部利用できない通信(プロトコル)がある。

名前
Protocol制限ありB
APN名
emb2.ne.jp

その他は emb.ne.jp と同じ

◆プロトコル制限なし(N)

スマートフォン用のAP。通常はこれを使う。

名前
Protocol制限なしN
APN名
emb3.ne.jp

その他は emb.ne.jp と同じ

◆MyEMOBILE

ブラウザを開くとオンラインサポートサイト「My EMOBILE」につながる。接続にかかる通信料は無料。

APN名
myemobile

その他は emb.ne.jp と同じ

◆EMnetメール

EMnet契約時に利用できる。MMSemobileメッセージアプリ)用。MMS配信を有効にする設定はこちら

名前
EMnetMail
APN
emnet.connect
プロキシ
wm.internal.emnet.ne.jp
ポート
8080
ユーザー名
emobile
パスワード
emobile
MMSC
http://mms.internal.emnet.ne.jp
MMSプロキシ
proxy.internal.emnet.ne.jp
MMSポート
8080
認証タイプ
PAP
APNタイプ
mms
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改版履歴

2014.06.26
EMOBILE 3G APNの設定を追加
2013.12.23
無線通信ルータ設定備忘録にAPN設定を統合
2013.12.15
リンクと画像を追加
2013.12.01
初版掲載(無線通信ルータ設定備忘録)
2012.11.06
初稿(LTE, W-CDMA APN の設定)

更新日 : 2014年06月26日 (4285)

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